書評家になろう=「昔話でアニマシオン」
2月例会。参加者35名
はじめに、代表あいさつに代えて、岩辺より今月から詩またはお話などを紹介し、教室で使えるお土産カードとして配布した。第1回はちょっと手話風のまど・みちお詩「おはよう おやすみ」(詩集『赤ちゃんとお母さん』童話屋)。
今月のブックトークは、広畑環さん。「中国人に対する戦争犯罪」のテーマで紹介。茨木のり子詩「リュウ・レンラン」。大谷猛夫著『日本の戦争加害がつくなわれないのはなぜ⁉』(合同出版)など。4月からしばらくはブックトークに代えて、ショート・アニマシオンが行われるので、しばらくお休みとなる。
さて、2月のテーマは「昔話でアニマシオン」。アニメーターの栗原さんと千田さんは担当が決まった1年前から学習を始めたと話していた。大きな狙いは、「書評家になって昔話絵本を評価しよう」ということだった。
「うらしまたろう」「いっすんぼうし」など11種類の昔話絵本をそれぞれ3冊ずつ集め、各チームはそれぞれの視点で「一押し」を選んで発表する。その視点の違い興味深かった。
「3年生の教室で行うとしたら」「1年生のすすめるとしたら」「昔話の基本を伝えているか」等々。評価の観点を設けた方がよかったのではないかという意見もあったが、私は、チームごとに評価の観点を話し合うところから、出発することにこの活動の意義があったと思う。
私のチームは、「ももたろう」だった。松井直&赤羽末吉による絵本があまりにも、『ももたろう』(福音館)としての定番になっているので、それを避けて考えた。大川悦生&箕田源次郎『ももの子たろう』(ポプラ社)を選んだ。はじめと終わりに、孫たちを囲炉裏のそばに呼び集める声掛けが「語りの枠」の設定となっているのもいいと思った。
案外、定番と思われる絵本ではない作品が選ばれていったのには、参加者の若さがあると思った。しかし、一致したのは、「子どもにおもねる」ような作品(文体、イラスト)は避けられたことだった。
「書評家になる」というアニマシオンは、モンセラット・サルト著『読書で遊ぼう アニマシオン』(柏書房1997)でも紹介されている。日本の「読解」が、作品のテーマに迫ることを課題として、そこに共感し感動していく傾向を強くしてきたのに対し、アニマシオンでは、相対化し、比較したり、立場を変えたりして、「読み込まれない」「飲み込まれない」主体的な読者を育てること、つまり「自立した市民を育てる」ことを課題としている。書評家になろうという活動はとても大事な問題的だった。
感想から紹介しておきたい。
●学校図書館にある昔話を、深く考えずに手に取っていましたが、同じ話でもこんなに多様な本が存在していることに驚いたとともに、子どもたちに出会ってほしいお話し、柄をよく選んでいきたいと思いました。このような勉強会の場に参加すると、自分が前に出て話をする時、この場のように聞き手がうなずきながら共感して「聞いてくれている」という空気が本当に大切だと改めて感じます。学級の中で必要なものも、そういうことなのだなと。「相手を見てうまずきながら聞きましょう」ということを、無理に強制しなくても、自然にそうなるように、同じ学びの目的意識が持てるような場をつくれたらいいなと思います。
●初めてこの会に参加させていただきました。今まで、昔話のよみきかせをやってきましたが、自分の選んでいる本と異なる絵本がベストに選ばれていることが多く、とても新鮮でした。次回は違う絵本を選び読み聞かせをやりたいと思いました。昔話、神話、伝説等の違い、昔話について、昔話絵本についてのレジメもとても参考になりました。これだけ多くの本を集めてくださり、ありがとうございました。
「はなさかじいさん」に出てくる犬の名前がないというのが、新しい発見でした。(私はポチと思っていました。♪裏の畑でポチがなく。正直じいさん…… ←この歌で覚えていました)(記録:岩辺)