１０月全国交流研究集会

10月９日（土）、読書のアニマシオン全国交流研究集会を開催。会場は文京区のアカデミー茗台。60名の参加で、充実した一日となりました。

午前は指宿市立山川図書館の久川文乃さん（館長）が「憩い・語らい・学びをつくる地域の中の図書館」と題してレポート。地域との提携で人の輪をつなぐ活動を紹介。サツマイモの栽培、セミの羽化の夜間観察会、ぬいぐるみによるお泊り会。さらに読書会や哲学カフェも。「第3の居場所」という言葉も新鮮だった。家庭、学校に次ぐ第3ということだが、この第1、第2も危ういようになってきた。様々な安心の居場所が必要だという提起にナットク。

――（感想より）●指定管理者制度の下でNPO法人としてこれだけできる!！ということ励まされます。図書館の希望がここにあると思いました。ぬいぐるみのお泊り会等のアイデアに敬服します。図書館のアニマシオンを通して子どもたちがつながっていく様子が見えます。

種村エイ子さん（鹿児島アニマシオン俱楽部）からは、図書館・読書運動とアニマシオンということで丁寧なレポートがされた。椋鳩十さんの「親子20分間読書運動」など、県立図書館長としての基礎作りが今も鹿児島の読書運動の土台となっていることを伝えていただいた。フランスの図書館におけるアニマシオンも昨年3月のアニマシオンツアーに基づいて紹介された。

――（感想より）

●人生のどこかで図書館を思い浮かべてもらえるような図書館、人々のくらしを支える図書館…という言葉に深く感銘を受けました。頭の中で描いていても言葉にできない、イメージを持っても具現化できそうになかったことに素敵なヒントをいただけました。

●フランスの「ヒップホップでアニマシオン」。とても驚きました。アニマシオンが市民の生活の一部になっているのだなあという感じがします。インターカルチャーという考えが、もっと日本に根付いていくといいなと思います。

午後は辻由美さんからフランスの国立図書館のアニマシオン活動がレポートされた。教育アクション部は12名で構成され、年間22,000人の児童生徒を受け入れている。「図書館の発見」「本の歴史と書物に関わる職業」「学校からの要請に基づくテーマのアニマシオン」等が行われるということだ。さらにブルジュ市の「読書への挑戦」の紹介があった。行政、教員団体、図書館がパートナーシップを組んで子どもたちの読書を応援する腰の据わった取り組みだ。

――（感想より）

●古くからある国立図書館だからこそできる、広くて深いアニマシオンを知り、ちょっと気が遠くなりました。たしかに、物語の中身だけでなく、本の歴史自体がアニマシオンになるというのはもっともなことだと思いました。

ワークショップが３つ行われました。青森からは「手紙」をキーワードにしたブックトーク、沖縄からは沖縄戦の犠牲者が残した品物の「声」に耳を傾けようというワークショップ、岩辺は絵本の見返しのページから物語を推理しようというワークショップを行った。

――（感想より）

●（青森）ただの手紙ではなく、拙くとも、間違っていても、想いがのった手紙を扱っていて、どのように進めるのか、本当に興味がわきました。手紙の背景には様々ありました。それらの背景も丁寧に扱いたいと思う内容でした。

●（沖縄）沖縄県の方がこのアニマシオンをなさり、読み聞かせも聴けて、ふだん聞くものとはまたちがった戦争の罪深さを考える機会となった。その場所で暮らす人たちの苦しい有り様を伝える活動や、それを受けとめる子どもたちの意識の継承とは、このような活動があってできるものなのだと実感しました。

●（東京）見開きを見ただけで、物語を想像するのが難しかったけど、おもしろかった。グループの人、他グループの人の意見を見聞きするのが参考になったし、関心もした。それぞれの完成に触れて、個々の違いの良さもわかった。

 　午前は雨だったが、午後には上がった。前日8日午後には、岩辺が葛飾柴又案内のオプション・ツアーをした。矢切の渡しでは、我々のグループで貸し切り状態にして、江戸川をゆっくりと回ってくれた。何十年も来ているけれど、こんな風にしてゆっくりと川を回ってくれたのは初めてのことだった。高木屋老舗で草団子を食べて解散。

「詳しくは、機関紙『ファンタジスタ！」79号で報告します。（記録：岩辺）」