5月例会「音をさがそう」
明治学院大学白金校舎2号館2202教室
◆ショート・アニマシオン
アニメーター:岩辺泰吏
・『ごんぎつね』 新見南吉にかかわる漢字17字がプリントで提示される。
・1文字ずつ書かれた紙(裏にして)を首から下げた5人が前に立つ。
・どの漢字なのか、グループごとに3つの質問を考える。
・グループごとに5人に同じ質問をする。(他のグループにきこえないように)・5人は (イエス 〇)か(ノー×)で答える。・グループで質問の答えから5つの文字を考え画用紙に書く。・グループごとに考えた文字を発表する。
◆ワークショップ アニメーター:渡部康夫
作戦1[『わたしたちのたねまき』の場面ごとの音を探してみよう]
① ねらい
・自然の様子を表した場面の絵や言葉から、聞こえる音を想像し、楽器や音が出るおもちゃを使って音を探して表現する。
・世界は文字(言語)、音、絵(映像)で表現される。大自然でも、お話でも同じである。文字は記号としての絵という要素と、音声による再生という音という要素がある。音による表現にこだわってみたい。・『わたしたちのたねまき』という絵本は、自然が奏でる音と、大自然を表現した絵と情景を描写した言語(文字)で表現された絵本である。絵本の世界に浸ることにより大自然の営みに触れあってみたい。
②対象・時間 小学校低学年~ 何人でも 45分
③ 準備するもの
● 絵本『わたしたちのたねまき』
(キャスリン・O・ガルブレイズ 作、ウエンデイ・アンダスン・ハルパリン 絵、梨木香歩 訳(のら書房)
●擬音語の言葉のカード
●楽器、音の出るおもちゃ・道具 等
●マジック、クレパス
④ながれ
・3~4人のグループに分かれる。
・絵本『わたしたちのたねまき』の読み聞かせを聞く。(音を表す擬音語を隠して)
・絵本『わたしたちのたねまき』の最初の場面の読み聞かせを聞く。
(音を表す擬音語を隠して)一度めは擬音語を入れないで、二度めは擬音語を入れて読んでみる。一度めと二度めを比較して、音の意味を考える。
・グループごとに絵本のそれぞれの場面で様子を表す音が表現されていることを知る。
・擬音語擬態語のカードから、それぞれの場面に合う語を探す。
・グループごとに場面カードを選び、その場面の擬音語に合う音を選ぶ。(音を出すおもちゃや道具から)
・ぴったりする音が見つからない場合や様子を表す擬態語の場合は、文字(擬音語、擬態語)でも良い。
・グループごとに、さがした音を出し、それをバックグランドに本を読んでみる。
・『わたしたちのたねまき』の各ページの隠した擬音語・擬態語をもとどおりに読み、自分たちの作った音と比べてみる。
作戦2 [紙芝居の上演を見て、自分の気に入ったタネを選び、そのタネが発芽、成長するようすを音や絵で表してみよう]
①ねらい
植物だけでなく、人々の思いや願い、行為をたねまきにたとえることがある。人間の成長を願う心から、大切な思いを育み育て、結実させることをたねまきにたとえることがある。
②対象・時間 小学校高学年 45分
③用意するもの
● 自作紙芝居『かめくんのたねまき』(わたなべやすお 作 2018.4)
④ ながれ
・紙芝居の上演を聞く。・
・もし自分だったらどんなたねをまきたいか考える。
・そのたねからどんな花が咲くか、どんな実がなるか、想像して絵や文で表す。
・音や様子を表す言葉(擬音語や擬態語、会話などの音声)を入れてみる。
・考えた擬音語を、音の出るおもちゃや楽器を使って表現する。(気に入った音がない場合や様子を表す擬態語の場合は、擬音語だけで表現しても良い。)
・何のたねをまいたのか、発表し、考えたお話を発表し合う。
◆ 討議
・絵本の世界に浸ったのか、『わたしたちのたねまき』の何を大切にしたのか、わかりにくい。
・絵本のオノマトペより、みなさんのオノマトペの方が面白い。
・作品の条件をもっと知った方が良い。内容が読めて(ヒント)があればもっと楽しめた。
・絵本の世界に浸るのでなく、音選びの楽しさになっていたのではないか。
・最初のイメージと後のイメージですかは音のイメージが違った。それらしい音を探す面白いやり方だと思う。
・ワークショップの難しさはあるが、物語に参加ことを提起した意義がある。面白いし、こういうチャレンジをしてみたい。(記録 増田栄子)
感想
〇今回は“音をさがそう”というテーマで行いました。『わたしたちのたねまき』一冊で行いましたが、音を作りやすい本を10冊以上用意して、それぞれのグループで(2つぐらいの場面)を音を入れて発表させるとおもしろかったのではないかと思いました。百円ショップの音は今一つ軽くてあきてしまいました。口で音を出してもよかったのではないかと思いました。発表はおもしろかったのですが、もっといろいろな本を使ってほしいと思いました。本を大事にしてほしかったなと思いました。
〇「いのちの音をさがしてみよう」では、その場面の音さがしを楽しんでできました。私たちは音の入っていないページでしたが、言葉(音)がなかったことが良かったと思いました。そういう本をさがしてこの手法を使うことができると思いました。
紙芝居の出来栄えに感心しました。とても広がりがあって楽しいと思います。3枚におさめてまとめるのが取り組みやすかったと思います。こんな風に紙芝居を作ることができるのはすごいと改めて思いました。(T)
〇学期末のおたのしみ会の一つとして実践は可能かと思う。音源のセレクトをネットに頼ると、大人なら選択は可能だが、小学生は遊びに走り、まとまりがつかなくなうr。今回のように限られたもののなかから創造する方がおもしろい。音にこだわるなら、大人の側でセレクトした音楽ソースから選択するような設定にしないと、時間内では終わらないと思う。
――アニメーターをして
以前から、音による表現の可能性についてこだわってみたいと思っていました。子孫を残し続けるという大自然の営みを表現した『わたしたちのたねまき』という絵本と出会ってから、そのような大自然の営みを言葉と絵と音で表現してみようと思いました。いろいろ考えているうちに、私たちの心の中でもたねまきは行われているのではないかという思いが湧いてきて、『かめくんのたねまき』という紙芝居を作ってみたくなりました。ちょっと無理があるかなとも思いましたが、その紙芝居をもとに、私たちの心の中のたねまきを考える活動を考えてみたわけです。たねまきという行為は、人間を含めた自然を作っている基礎であることには違いがないように思っています。(渡部康夫)