【ショートアニマシオン】
アニメーター 滝脇れい子
「紙芝居へのさそい」
1,ねらい
「道徳でアニマシオン」の中で、紙芝居が取り入れられている。今日は紙芝居について考えてみたい。
2,流れ
① 紙芝居『あんもちみっつ』(水谷章三、脚本 宮本忠夫、絵 1984年 童心社)を上演し紙芝居の世界を体験する。
②紙芝居と絵本どこがちがうか紙芝居のいいところって何かをチームで話し合い発表する。
・ 絵本はページをめくることにより話が進行するが、紙芝居は絵を抜くことによって場面が変換する。また、絵の抜き方によって観客を引きつけることができる。
・ 紙芝居では、演じる者は、登場人物になりきって思い切り演じるが、絵本の読み聞かせは抑制的に表現する。
・ 紙芝居には舞台があり、一枚の場面の絵に観客を集中させることができる。絵本と違って、絵による迫力があり、観客も話のなかに引き入れてしまう。絵本は、ページをめくることによって前の場面に戻ることができるが、紙芝居は、一度切り替わったら前にもどれないので演じる側も観客の側も、一枚一枚の場面の絵に集中することになる。
・ 小さい子も集中して聞くことができる。 などの意見が出された。
アニメーター 宮崎 大策
「そりゃあもういいひだったよ」
1,ねらい
特別何かあるわけでもない一日の大切さに気付く。毎日を明るく前向きに過ごす気持ちを育む。
2,流れ
①最近、楽しかったことをグループで出し
合い、発表する。
②題名をかくして絵本『そりゃあもういいひだったよ』(荒井良二作 小学館)を読み聞かせる。途中、主人公のくまくんが山にてっぺんに登ったところで、読み聞かせを中断して、くまくんが、山の上で見た景色を想像した。チームごとに考えたことを発表した。その後、最後まで読み聞かせた。
③チームでこの絵本の題名を考え発表した。
繰り返し同じフレーズが出てくるので、ほとんどのチームが「そりゃあもういいひだった」という答えだった。
④この本の見返しに載っている作者が作った4クママンガを紹介し、それにならって、チームで、一人一人最近楽しかったことを思い出しながら、クマくんが登場する4クママンガを描いた。最後に、「そりゃあもういいひだったよ」という台詞を必ず入れることとする。絵ではなく、言葉だけでも良いこととする。
⑤作った4クママンガを発表し合う。
各チーム、話し合って楽しいお話ができた。さんごの海になっている辺野古や、子どもたちが楽しく遊んでいる普天間を夢で見るなど、社会問題を組み込んだチーム、森で遊んでいたが、アニマシオンの勉強をして、最後はクマベル賞を取った話、「すみれ学園の一日」として楽しい学校生活を描いた話、大好きなものを食べた話などが紹介された。
⑥ 最後に、荒井良二の絵本『バスにのって』(偕成社)を読み聞かせた。
【討論より】
・どうしてこの本を選んだのか?子どもたちに何を伝えたかったのか?という質問については、アニメーターとしては「そりゃあもういいひだったよ」という台詞が気に入ったことであり、子どもたちには、日常生活の中で何気ない毎日のちょっとした幸せに気付かせたいと思ってこの活動を考えたとのことであった。
・はじめに、最近あった良いことを発表させるところは、特別なことがないと思っている子供にとっては答えにくいのではないか。最近あったことを発表させてから、何気ないことでも、素敵なことといえるということに気付かせることでも良いのではという意見が出された。良いことといわれても子どもたちには分からない事が多い。この絵本の中のクマさんの気持ちを考えても良かったのではという意見や高学年や中学では、「いい日」の意味を考えさることもできるのでは、などの意見も出された。
・4コママンガによる表現活動は、意味のあることであり、子どもにとっても取り組みやすい活動である。今後のアニマシオンの可能性を考えても意味のある活動だと思う、という意見や他にどんな活動が考えられるか考えたいという意見も出された。
・この活動に「疑う・議論する」という過程がない。疑問を持って、自分の思いを深めることが大切ではないか。普段の道徳の授業が、ただ徳目を鵜呑みにするような活動になっていないだろうか。私たちがめざす道徳教育は、批判的精神を持った、よりよき市民を育てることであり、与えられたことを受け入れるだけの子どもを育てることではない、その意味で、ただ使いやすい、流し込むだけのアニマシオンになっていないか、問い直しが必要ではないか、という意見も出された。
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