1月ブックトークカフェ トークイベント

118日(土)神保町のブックハウスカフェにて「アニマシオンで道徳」のトークイベントがありました。ブックハウスという子どもの本専門店で、私たちが昨年出版した『アニマシオンで道徳』のイベントができることは何より嬉しいことでした。みぞれが降るとても寒い日でしたが、会場はあふれんばかりの満杯。65名もの方が参加してくれました。まず、代表の笠井から『アニマシオンで道徳』1章の教室での道徳の実践を話しました。9本の収録されたうち6本の実践を紹介しました。・石井広昭さんが『てん』を使い、どのように議論を作りだし、子どもの絵の展覧会に持っていったか。・藤條学さんの「仲間はずれファン」は、軽い仲間はずれを作り出すゲームを通して子どもたちうたがうことの大切さを説いている。・また、『質問絵本』では他人の答えを予想することで、人によって考え方がちがうことを気づかせている。・『サプール』を扱った宮崎大策さんは、「なぜ貧しいのに洋服にお金をかけるのか?」という質問で議論をつくりだしている。・『希望の牧場』を題材とした笹島朋美さんは、立ち入り禁止地区で牛を飼い続けるという重い実話を子どもにぶつけることで、議論をつくりだしている。そして、笠井が昨年中学3年生で取り組んだ「アイデンティティのオークション」について説明しました。中学生に使った実物を示し、簡単にオークションをやった後、写真を使い、中学生がどんな反応をしたのか、中学生がどんな思いを考えをもっているかを話しました。楽しい中にも中学生の夢や苦悩が素直に表れているという話です。

 次にやったのは、菊池好江さんによる紙芝居の実演です。アンデルセン作、稲庭桂子脚本、岩崎ちひろ画の『おかあさんのはなし』でした。この話は、病気の坊やを死神に奪われたお母さんが、冷たい冬の風の中を走り、湖で両眼を失い、美しい髪を白髪と取替えながらも死神と対峙し、そして坊やを取り戻すとう話です。菊池さんはこの紙芝居を、いくつもの声に強弱をつけながら演じ、参加者を紙芝居の世界に引き込みました。参加者は菊池さんの演技に魅了されました。

 次に登場した泉さんは小学校の道徳で紙芝居を取り上げることの意味や面白さをわかりやすく説明しました。長年紙芝居に取り組み、紙芝居で子どもたちと語り合っているという話はさすがだと感じました。

 最後は『アニマシオンで道徳』の「はじめに」を書き、2章を中心になってまとめた岩辺泰吏さん。道徳教科書の話と2章を使ってのワークショップを行いました。道徳教科書はどうしても国語教科書っぽくなってしまうこと、でも国語教科書より短くしたため、内容が薄くなってしまうこと、しかし、その中でも面白く、内容のある教科書もあることなどを話しました。

 そして、持参した9冊の本を使ってワークショップをしました。『あさの絵本』『カランポーのオオカミ王』『北をめざして 動物たちの大旅行』『クマと少年』『月夜のみみずく』『マッチ箱日記』『森へ』『子どもたちの遺言』『鹿よ おれの兄弟よ』の9冊です。これを3冊ずつ簡単に説明し、この本に共通している道徳の徳目は何かをグループで話し合うというものです。これを3回繰り返します。グループの話し合いの結果、発表では「生命の尊さ」「よりよく生きる喜び」「家族愛、家庭生活の充実」「感動、畏敬の念」などが発表されました。難しくもあり、またグループの中で違った意見がでるなど面白い話し合いができました。『アニマシオンで道徳』2章は「感動、畏敬の念」になっています。道徳の徳目に合わせ本や資料を選ぶのがいかに難しいものかが体験できました。

 以上のような内容で、あっという間の3時間でした。素敵な会場を貸していただき、協力していただいたブックハウスカフェ店長の茅野様、かもがわ出版の三輪様、また紙芝居を演じてくださった菊池好江様、ありがとうございました。(文責:笠井英彦)

【参加者の感想】

○恥ずかしいぐらいに涙が出てきました。感じて知って笑って学んで・・・とっても豊かな時間でした。今日ご紹介してくださった本『アニマシオンで道徳』に載っている本を全部読んでみよう!自分で感じて考えよう!と思いました。実践もぜひ自分の職場の子どもたちとやってみようと思います。(H

○道徳のというものにかまえていましたが、今日は私自身が楽しく、いろいろなことを知ることができ、とても良かったです。まずは教材研究、そして本を読むところから一歩ずつ進めていきます。(S

 

○笠井先生のアイデンティティのオークションの実践をとても興味深くききました。ぜひやってみたいと思います。また、紙芝居の「おかあさんのはなし」圧巻でした。とてもひきこまれて聴き入りました。他の作品も聴いてみたいです。泉先生のお話も面白かったです。ぜひ紙芝居もやっていただきたかったです。岩辺先生はいつもながら楽しくそしてためになるお話でした。(Y