2月例会「外国の昔話絵本でアニマシオン」

 2月8日(土)は読書のアニマシオン研究会の月例会でした。今回はショートアニマシオンが滝脇れい子さんの「わらべうた」。メインワークショップは栗原圭子さんと千田てるみさんの「外国の昔話絵本の魅力を見つけよう」でした。寒い日でしたが皆でわらべうたを歌い、また外国の昔話を楽しみました。

■「わらべうた」ことば、リズム、社会性を育てる

 

 滝脇さんのショートアニマシオンは、季節ごとのわらべうた、手遊び歌を皆で歌い、言葉の楽しさ、心地よさを味わいながら、それにちなんだ本を紹介するというものでした。

 春では、「うぐいすの 谷亘り 海にうぐいす ホーホケキョ」「はるかぜ ふー さくらの花びら ひらひら」のわらべうたを歌い、『おはながさいた』『とりをよぼう』『みるなのくら』が紹介されました。夏では、「うみだよ かわだよ あおい水は ふーねこげば 魚もおどる」「ドーンとなった花火はきれいだな 空いっぱいに 広がって しだれやなぎも きれいだな」を歌い、『くじらのあかちゃん おおきくなあれ』『はなびドーン』『さかながはねて』が紹介されました。日本の歌の心地よさが感じられ、またそれにちなんだ絵本が紹介されたのは今までにないアニマシオンで、楽しむことができました。

■外国の昔話絵本の魅力を見つけよう(ヨーロッパ編)

 アニメーターの栗原さんと千田さんは、世界の昔話のアニマシオンを初めて6年。今回はそのヨーロッパ編でした。ヨーロッパの各国の昔話絵本を読み、それぞれの本の魅力をお話や絵などから見つけ発表し合うことにより、楽しさや奥深さに気づき、外国の昔話絵本を楽しもうとする意欲を喚起するというねらいのもとに考案された大人向けのアニマシオンでした。

 まず、昔話の○×クイズ。

1.昔話は口伝えされてきたおとぎ話である。(答えは○)

2.世界各地に似たような昔話があると言われるが、イギリスの「三びきのクマ」とロシアの「三びきのクマ」はよく似ている。(答えは○)

3.昔話には様々な特徴があるといわれているが、偶数が好きというのは、日本でも世界でも共通である。(答えは×・・奇数)

 次に『ケイトと豆のつる』の読み聞かせから、この本の魅力をについて説明、発表の仕方の例が示されました。

 ここからが中心となるアニマシオンです。

「ノルウェー1」「ノルウェー2」「その他の北欧」「バルト三国」「東欧1」「東欧2」「イタリア」「アイルランド」「フランス」「イギリス・スコットランド」「ポルトガル・スペイン」の11地域に3冊ずつの絵本が用意されています。参加者の二人組グループが、この11地域の中からひとつ選びます。二人組でこの与えられた3冊を読み、その中から面白そうな1冊を選び、その絵本について、絵本の魅力を紹介、発表すると言うものです。

 アニメーターから発表のためのメモ用紙が用意されていて、そこには「この物語はどんな話か」「あらすじ」「昔話としての魅力」「感想」という項目があり、それにそってまとめていきます。また、魅力を語る時には「昔話の特徴」(小澤俊夫著『昔話入門』)を参考にするといいというアドバイスもありました。

 私のグループは「ポルトガル・スペイン」の地域を選び、『はしれ!カボチャ』『まめつぶこぞうパトゥフェ』『かたあしのひよこ』を読み、『かたあしのひよこ』を選び、発表しました。初めて読む絵本で、ひよこがオオカミやライオンを飲み込むと言う発想がとても面白く、絵も笑ってしまうような楽しい絵本でした。でもこの話が、スペイン独裁政治とカタルーニャの独立運動につながっていたと言う後書きを読んで驚きました。

 この後、8グループからその本の魅力を語る楽しい発表がありました。

 用意された34冊の昔話絵本は参加者が知らない本が多く、国の違い、文化の違いを感じるだけでなく、その共通性もわかり、多くのことを学んだワークショップとなりました。6年間、このテーマで調べ続けたアニメーターの努力の成果を感じました。

(文責:笠井英彦)

■参加者の感想

○わらべうたとそれにまつわる四季を通してのブックトークであたたかい気持ちになりました。うたを覚えたいなと思いました。

○楽しかったです。赤ちゃん向けの絵本がたくさんあるのですね。春夏秋冬の順で絵本を紹介していくのも面白かったです。

○こんなに豊かな昔話絵本があるのだという発見があった。昔話のセオリーは世界中に共通するものであることにあらためて確認できた。大人のためのワークショップという前提で考えられた活動も大事だと思う。

○たくさんの昔話にふれられたのがよかった。昔話の魅力を分析する方法がわかりました。指導者向けのアニマシオンだと思いました。

 

○グループで紹介されるお話を聞いているうちに「あれ?この話に似た話、読んだことあるかも」と別の話を思い出すことが何度かありました。国が違っても似たストーリーのお話が作られていておもしろいなと思いました。昔話の特徴が話の魅力の一つとしてつながっているのだと、みなさんの紹介を聞いて改めて感じました。