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今こそ読もう、この1冊!!01

「アリババの猫がきいている」

新藤悦子 作  佐竹美保 絵

ポプラ社  本体1500

 日本に住むイラン出身の言語学者アリババは、ペルシャ猫のシャイフを飼うことになります。シャイフは人間の言葉がわかる猫でした。出張に行くため、アリババは民芸品店「ひらけごま」にシャイフを預けます。そこで、シャイフは自分がモノたちとも話ができることに気づきます。イランからきたタイルばあや、アフガニスタンからきたひもねえさんたちが語るそれぞれの物語を聞いたシャイフは、モノたちの幸せのために一肌脱ぐことにします。モノたちはどんな話を語り、モノたちの幸せってどんなことだったのでしょう。

それは読んでからのお楽しみです。

 さて、故郷を離れたモノたちは、シャイフとの出会いを通して、自分の居場所を見つけることができました。作者はトルコや中近東で取材を続けたNF作家で、この地域や文化への造詣の深さに驚かされます。中東の香りに満ちたモノたち、故郷を離れた人々の思い、優しく温かな人間関係が心地よい、心が和む本です。佐竹さんの挿絵も、中近東の香りを伝えて素敵です。中・高学年に(千田てるみ)

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コメント: 1
  • #1

    タッキー (木曜日, 07 5月 2020 10:45)

    表紙のペルシャ猫のシャイフ。愛らしく賢そうな猫ですねぇ。私もシャイフに話しかけたり、話を聞いて貰いたくなります。自分の身の回りに残念ながら中近東のものはないし、行ったこともないです。それだけにペルシャ風の絨毯や装飾品、水差しや壺などの日用品にどんな物語が秘められているか興味が湧きます。
     子どもたちも中近東の文化やくらし、歴史にふれる機会となるのではないでしょうか。読みたいです。