北の里から平和の祈り ~ ノーモア・ヒバクシャ会館物語
文・こやま峰子
絵・藤本 四郎
英訳・エバンズ・キアラ、五十嵐夕夏
北海道新聞社 2020年6月
2,000円+税
札幌市郊外に「北海道ノーモア・ヒバクシャ会館」が開設したのは、1991年12月のことだった。詩人・絵本作家のこやま峰子さんは、「なぜ、北海道に?」という疑問を追って、この物語をまとめた。主人公は長崎で被爆した7歳のまり子。1945年8月9日、長崎に投下された原爆によって父と母を失ったまり子は、おばあさんと二人、その故郷の札幌で暮すことにする。このようにして、現在(2019年3月)271名の被爆者が暮らし、その交流・憩いと資料保存・展示の場として開館は建設された。
藤本四郎さんのあたたかく、ていねいな絵がとてもやわらかく物語にひき込んでくれる。また、北星学園大学英文学科の学生二人が指導教官の監修を得て英訳しているので、多様な活用ができる。
こやま峰子さんは、多様な創作活動のなかでも、「平和の語り部」としてユニセフや赤十字国際委員会と提携、『夢に翼を』(ベトナム戦争の残された障害児の問題)、『ねがいをのぼる太陽に―学校に行かせて』(バングラデシュのゴミの山で暮す子どもたち)、『地雷のあしあと』(ボスニアヘルツェゴビナの子どもたちが描いた絵を基に)などと共に、ご自身の戦争体験に基づく詩集『未来への伝言』を出してきた。
また、「読書のアニマシオン研究会」発足の初期から支援をしていただいてきた。この本の発行にあたっては、「「北海道アニマシオン研究会」代表の佐藤広也さんが企画・コーディネートしている。(岩辺泰吏)
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