『語られなかったアメリカ史 3 人類史上もっとも危険な瞬間』
オリバー・ストーン&ピーター・カズニック著 鳥見真生訳 あすなろ書房 2010年3月
この「語られなかったアメリカ史」のシリーズは私のアメリカ像を覆し衝撃的なシリーズでした。
また、今回のコロナ騒ぎでは、かの国のリーダーの不見識(我が国のリーダーも同じかな?)にあきれはてました。さらに人種差別がまかり通り、公民権運動当時からほとんど進歩していないこの国の実態を知るに及んで、驚き、絶望感さえ持ちました。この『語られなかったアメリカ史3』は、さらに多くのエピソードが語られます。
内容で衝撃的だったのは、ポール・ロブソンをめぐるエピソードです。優れた運動選手で役者・オペラ歌手でもあるロブソンは、ヨーロッパでの講演旅行の経験から、アメリカでの黒人差別に疑問を持ち、声高に黒人差別を非難しました。しかし、それ故彼は、共産主義者のレッテルを貼られ、表舞台から葬り去られたのです。
国家の間でも恐ろしいエピソードが続きます。イラン、グァテマラでは、力と金と陰謀によって国家をも破壊するアメリカという国が存在することが伝えられます。。
一方、キューバをめぐるエピソードは、面白すぎて冒険小説を読んでいるかに思えましたが、辛いことを読み続けたごほうびだったかもしれません。ただし、キューバをめぐる主人公たちに拍手を送りながらも、その陰で、地球や人間たちの存在を脅かすような危機が、紙一重で回避されたことを知りました。この暑い夏の熱中症回避のためにはもってこいか?などと思ってもみました。
CIAが、まさに悪役として登場するこの歴史書。原爆ケーキで誕生日を祝い、戦争グッズで子どもたちが夢中であそぶエピソードには、過去のアメリカの姿とかの国のリーダーの姿が重なりました。
様々なエピソードに彩られたアメリカという国、その国を少しでも知ることが、この地球に生きる上で大事なことだと感じました。国家に操られる陰謀に加担する国民にはなりたくない…そんな感想を持ちました。 (千田てるみ)
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岩辺泰吏 (月曜日, 24 8月 2020 16:03)
もうすぐアメリカ大統領選挙です。この前も、ヒラリーが確実と言われたのにトランプがなりました。大統領が替わると、世界もこんなに緊張し、偏見と差別、紛争が煽られるなんて。世界が団結して臨まなければならないコロナの中で、なお対立が煽られるなんて。その背景にアメリカの歴史がある。読まなければわからないことがいっぱい…。