『檻の中のライオン』楾 大樹著
かもがわ出版 2016年6月
私は今、中学3年生に社会科の授業で憲法を教えています。そこで子どもたちに紹介し、資料としても使っているのがこの『檻の中のライオン』です。社会科(公民)の教科書では憲法の3大原則ということで「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」を強調しています。これはこれでとても重要なことです。しかし、それに比べると「立憲主義」の記述は十分とは言えませんし、わかりやすいものではありません。国民の権利を守るために憲法で国家権力を制限するという「立憲主義」は、憲法を憲法たらしめる大切なものです。『檻の中のライオン』では、憲法を「檻」に、権力を「ライオン」に例えて、国民の権利や立憲主義のしくみを詳しく説明しています。この「檻」と「ライオン」を使っているところがこの本の素晴らしいところで、「檻」と「ライオン」と私たちが登場し、憲法に関わる46の話で成り立っています。イラストも可愛らしく、子どもたちにとって親しみやすい読み物になっています。正進社の中学3年生用の『公民の資料』はこの『檻の中のライオン』を「一番わかりやすい憲法の導入特集」として8ページにわたって掲載しています。「難しいことをやさしく」とはまさにこの『檻の中のライオン』のことだと思います。子どもも大人も楽しく憲法がわかる本です。(笠井英彦)
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ゆうた君 (火曜日, 06 10月 2020 14:00)
「檻の中のライオン」・・・うまい表現ですよね。
いま、ライオンは野に放たれて、やり放題と思っている。
今こそ、この本を!