11月7日(土)11月例会を開きました。参加者は、世代では20代から70代、女性が半数以上、教師や司書、民間の教育機関に関わる方と多様性に富む参加者となり、3時間の例会を楽しみました。
■ショートアニマシオン
「モノ語りづくりでアニマシオン」
アニメーター:金指孝造&オッサンズ
【ねらい】
身の回りのモノを使って協同して物語を作る。(今回はショート作品)【対象】小学4年生以上
【進め方】 まず、アニメーターから3つのカード(ボール・くつ・テーブル)が提示され、この3つのモノを使ってアニメーターが作った物語が読まれました。そして、お話をつくる時の注意点として3つのことの説明がありました。
・3つのモノを登場させる。
・起承転結を考える。
・タイトルをつける。
次に3つのモノのカードをグループで引き、グループで物語を作っていきました。
そのカードには〈ギター・フォーク・コマ・花瓶・指輪・コップ・マスク・ぬいぐるみ・ちりとり・かさ・虫メガネ〉などが書いてありました。
20分ほどグループで話し合い、ワークシートに作った物語を書いていきました。そして、発表。
その中で面白かったひとつを紹介します。このグループの3つは〈指輪・マスク・花瓶〉です。
「20XX年、A社から画期的な指輪、アップリングが発売された。世の中に隠れる悪意を見通す力を持つこの指輪は、瞬く間に人々の手に渡った。しかし、N国政府はあるひ突然法律を改正、全家庭に『本音が喋れなくなるマスク』を配布し、これを着用しない者を次々と処罰し始めた。人々は政府の悪意が見えても声を上げることができず、信頼し合う者同士は互いにののしり合い、疑心暗鬼に陥っていった。この様子を見ていたクロネコ団は、人間たちのために何かしなければと立ち上がった。相談を重ねたクロネコたちは、花を言葉に変える花瓶を作り、人々のもとに届け始めたのであった。想いを込めて花束を贈る、その花束を花瓶に差すと、贈り主の想いがメッセージカードに変わっていった。人々は互いに花を贈り合い、信頼関係を取り戻すことができたのである。人々の思いに圧倒されたN国政府は法律を撤廃し、人々は花束を贈り合う習慣が残るのみとなった。」
短時間でこれだけ面白い話ができたのはすごいと思いました。
■ワークショップ
「チーズどろぼうをつかまえろ」(幼年童話を楽しもう)アニメーター:渡部康夫
【読書材】『ゴインキョとチーズどろぼう』(チュウチュウ通り1番地)
【対象】小学校低学年
【進め方】
①活動1 本の題名は何?
アニメーターから次のような話がありました。
「今日はみなさんにネズミの国に行ってもらいます。(地図を示し)ここにはチューチュー通りがあって1番地から10番地までお話があります。この本の表紙にはチューチュー通りの住人のネズミたちの名前が入ります。さて、どんな名前のネズミでしょうか。表紙のカードと文を合わせましょう」
3人グループで話し合って表紙と文を合わせていきました。文はこんな感じです。
・ゴインキョ 金色に光るお宝をたくさん持っています。
・クツカタツボ めずらしい古道具を売っています。
・フィーフィー 子だくさんのきもっ玉かあさんです。
これはそんなに難しくはなく、文をよく読んで絵を見ればわかるものでした。
②活動2 前かな後ろかな
アニメーターから次の活動の説明がありました。
「これから1巻の『ゴインキョとチーズどろぼう』を使っていきます。前にこの本からとった8枚の絵があります。グループで1枚絵を選んでもらいます。選んだ絵よく見て物語を想像します。代表者はその絵を持って前に出ます。そして8名の代表者は前後を考えて並び替え、物語を完成させます。」
これはアニマシオンの手法「前かな後かな」です。まだ本を読んでいないため、かなり難しいと思われましたが、前に出た8人がいろいろ話し合い、またその話し合いに前に出ていなかった人も入り、なんとか8枚が順番に並びました。
最後に、アニメーターが正しい順番の説明がありました。
③活動3 チーズどろぼうをつかまえろ
アニメーターから「チーズどろぼうを捕まえるため、真夜中、チューチュー通りの仲間たちは何をしたでしょうか?次の文章の続きを考えましょう」と指示が。
バートは、なきながら、窓からそとにぬけだし、やみの中に消えました。ガードマンたちが部屋に入ってきました。「あーあ。のんびりしたくらしも、これでおわりか」ゴインキョはなげきました。そのとき、通りから、・・・・ |
各グループでこの続きのストーリーを考えました。
そして発表。例えば次のようなストーリーの発表がありました。
バートくんは、チューチュー通りのみんなに「どろぼうだ!」と知らせて回った。そして、通りのみんなでガードマンにふんしたどろぼうをつかまえました。ゴインキョはみんなにチーズを分けてあげました。 |
通りからネコの泣き声がしました。「ニャーオ」チューチュー通りのみんなが出てきて、声を合わせてネコの泣きまねをしていたんです。どろぼうたちは、びっくりして一目散に逃げていきました。 |
最後にアニメーターがこの本の結末のお話をしました。アニメーターがこの本の結末のお話をしました
■参加者の感想から
○それぞれのグループでつくったお話が楽しかった。ふだんよく身の回りにあるものでも、グループの人たちの発想がからみあってファンタジーの魔法がかかるとすばらしい物語が出来上がると思った。(A)
○ショートとしてはもったいなかったけど、とても楽しかった。それはアニマシオンクラブ の参加者の想像力&物語る力のすばらしさによるものであったと思います。(I)
○8枚の絵を並べていく過程が頭を使い、ワクワクしました。1回途中でお話を紹介してわからせてから後半のラストを作らせていくのも頭の整理がついてわかりやすいと思いました。最初のタイトルに名前を入れるクイズは低学年でも楽しくできそうです。とても勉強になりました。(S)
○「チュウチュウ通り」シリーズの10冊の登場人物の紹介となるはじめのクイズでシリーズへの期待が高まった。「前かな後かな」「後ろを考える」と取り組んで、作品の良さもわかり楽しい活動だった。(Y)
○「チュウチュウ通り」シリーズ知っているようで、全部知らない本に触れることができて良かったです。本の良さが伝わりました。一つ目、二つ目、三つ目のアニマシオンが積み重なって良い効果を出し、シリーズ全体の良さが伝わってきました。(S) (記録:笠井英彦)
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ゆうた君 (木曜日, 12 11月 2020 09:33)
アニメーターの準備がしっかりされていたことがまず敬意を表します。
物語づくりのような創作活動が子どもたちに新しい力を育てると思います。
幼年童話の世界も豊かな可能性があると思いました。全体の構成がしっかりして、見通しがあると思いました。