『日本のSDG s それってほんとにサステナブル?』
高橋真樹著 大月書店 2021年3月 1,760円
コロナ対策においては、現政権の無能無策ぶりは目を覆うばかりの惨状と言うしかない。しかし、あからさまにならないだけでSDGsに対しても、かなりの見当外れの取り組みをしているように思える。達成期限は2030年なのに。
しかし、それを憂慮する人が多くいるらしく、その一人がこの本の作者、高橋氏である。
私は、何か怪しいと思うばかりであったが、高橋氏は、丁寧に日本の取り組みや企業の取り組みの課題を明らかにしていく。ゴミ袋削減への疑問、石炭火力発電所への疑問などにも多角的な視点を与えてくれる。あえてまとめれば、SDGsを掲げることは、自己矛盾を克服するよう、自らを追い込むだけの覚悟がいるという難しさを伝えてくれる。別の言葉でまとめれば、誠実であれ!ということである。まあ、現政権の最も不得意な分野であろうと思ってしまうのだが、そこだけを突いては、何の新しさもないだろう。この本は、最後の章で、誠実に努力や工夫でSDGsの目標実現に向けて頑張る諸団体と個人を紹
介する。その取り組みが希望であり私たちの未来というわけだが、希望は見えたかなぁ。どちらかと言えば、日本の政治家、企業などの取り組みの不十分さ(ごまかし)が心に重く残ってしまったが。とはいえ、今の時点で、日本のSDGsへの取り組みを再確認しておくことは、達成期限が10年を切った今、それぞれ必要なことだと思う。なぜなら、このSDGsは、世界中の多くの人びとが日々目標に向かって共に歩むという、貴重な体験を差し出してくれているからであり、人類の存続がこの取り組みによって、決定づけられるように思えるからである。(千田)
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