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今こそ読もう、この1冊!!70

ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団♪

 『少年弁護士セオの事件簿1なぞの目撃者』

 アメリカで法廷ミステリー作家の第一人者ジョン・グリシャムが児童書に挑戦した第1作。セオは8年生、日本の中二。両親は弁護士で、自分の弁護士になりたいと思って、裁判所にもしょっちゅう傍聴に行っている。裁判官にも顔なじみ。法律の知識もなかなかのもの。それを知っている同級生や知り合いから相談も持ちこまれる。そんな中で、町で起きた殺人事件に関わっていく。 ……で、それ以上は書かない。少年探偵団だって、あらすじを知ってしまえば読む意欲は減退だ。おもしろかった。376ページという長さをぐいぐいと読んでしまった。不法移民問題などもからんで、社会の矛盾もしっかり書かれているのもいい。

 先日の日本子どもの本研の講演で、前沢明枝さんのお話を聞いてから(ZOOMで)、翻訳

文に関心を持つようになった。こちらの石崎洋司氏の訳もなめらか。「訳者あとがき」で、前澤さんと同じことを指摘している。「大人向けの小説を書いてきた作家が児童向けの作品を書くのは、かんたんそうに見えて、実は大変にむずかしいものです。少ない言葉数とやさしい表現で、複雑な伏線を使わずに、年少の読者をすぐに物語世界に没頭させるには、大人向けの小説とはまったく別の技術が要求されるからです。まして、法律用語が飛び交うサスペンスともなれば、これは至難の業です」と。

 それがしっかりと成功している。『少年探偵団』や『ズッコケ三人組』を思い浮かべた。

もしろくてもう5巻を読んでいる。7巻が最近出た。 岩崎書店2011.9 (岩辺泰吏)