『ひとがつくったどうぶつの道』
キム・ファン 文 堀川理万子 絵
2021年5月 ほるぷ出版
アレッ!題名を見て、不思議に思いました。動物が作ったけもの道を、人間が歩くことはあるけれど、自然の中で生活する動物に、人間が道を作ってやるなんて考えられないと思ったのです。 でも、表紙の絵を見ているうちに、間違いに気づきました。表紙の動物は、モモン
ガです。モモンガは、メスのところまで、夜になると出かけていきました。けれど、人間の作った道路が2匹を隔ててしまったのです。
シカも、タヌキも、ウサギもキツネも、みんな道路に妨げられ自由に動けません。
交通事故も続出です。そこで人間は、道路を作ることにしました。動物たちが道路を渡るための道ができたのです。「ああ、良かった。」
でも、モモンガ夫婦は、会えません。モモンガは道路を歩くわけではないからです。でも、人間はモモンガが通れる道を作りました。モモンガ夫婦はその後、毎晩、家族の団欒を楽しんだかもしれません。でもモモンガが通る道ってどんな道なんでしょうね。動物が人間の作った道で交通事故にあうことを「ロードキル」と呼ぶそうです。そのロードキルについて、最後に詳しい説明があります。動物用の道もいろいろ種類があるそうです。モモンガの絵がかわいらしくて手に取った本でしたが、自然保護のあり方を提起した貴重な本でした。(千田)
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