「まどさんの詩でアニマシオン」
4月16日(土)岩辺泰吏さんの『まどみちおの詩で時間割』出版を記念してブックハウスカフェで特別例会を開きました。参加者は会場、リモートを合わせて60数名。遠方では青森や宮崎そしてなんと南アフリカの方が参加してくれました。 読書のアニマシオン研究会メンバーによるまどさんの詩を使ってのアニマシオン。岩辺さんの明治学院大学時代の教え子によるまどさんの詩を使ってのパフォーマンス。岩辺泰吏さんによる「まどさんの詩を語る」。日本ペンクラブ常務理事でJBBY副会長である野上暁さん、作家で詩人であるこやま峰子さんによる本へのコメント。岩辺さんの友人で本の出版に協力した泉宜宏さんによる手作り花火の披露と多彩な企画が続きました。
そして会場やオンラインの参加者に感想を語ってもらいました。岩辺さんの話では、この本を作成するに至った経過。載せられなかった詩や意識して取り入れなかった詩。詩にコメントを入れるのが難しかったこと。コメントに緊張した詩。自分が好きな詩等の話がありました。最後に入れたフレーズは「詩は教材ではない」という文章で、自分は子どもたちと詩を楽しんできたが、やっぱり詩は教材ではなく、もっと生きる上で身近にあり、楽しむもの。詩を好きになってほしいと語りました。
あっという間の2時間で、まどさんの詩の素晴らしさ、詩を楽しむことの心地よさ等を実感した2時間でした。詳細は次号機関紙「ファンタジスタ」に掲載します。(笠井英彦)
【参加者の感想】
●本のよさ、詩のよさ、まどさんのよさも伝わっ
ててきましたが、やっぱり、岩辺さんの魅力に
惹かれました。授業を楽しんでいらしたんだろ
うな、子どもたちも楽しかったんだろうなとビン
ビン伝わってきました。今の学校で大切にし
なくてはいけないのは、温かさだったり、自由
さだったり……です。また、手作り、人らしさで
す。詩を手書きにするよさ、わかります。
私も小学校の時、担任の先生が、後ろの黒
板に詩を書いていた字を覚えているし、習字
でも朱で手本を書いてくれた息づかいやリズムを覚えています。そんなことを大切にしていきたいと
思えました。(T)
●「先生」の詩を聞いて(岩辺さんの声を通して
「聞いて」)いるうちに涙があふれて止まらなく
なって困りました。詩は人の心をゆたかにして
くれる、耕してくれることを、いまさらながら感
じました。大学の授業の時「りんご」を、学生
にいきなり暗唱させて、ずっとは分からないら
しく、少し首をひねりながら、それでも真剣に
(教育大なので)とりくんで読んでくれた学生
のことも思い出しました。やっぱりうかがってよ
かったと思いました。(M)
●とても楽しかったです。詩に触れたのは、久
しぶりでした。お話の中、大学の国語の授業
を思い出しました。先生は覚えていらっしゃい
ますか。2つの花が写っている写真、これを見
て、詩を書いてみようという内容でした。自分
の心を言葉にできた嬉しさ、一枚の写真でも
十人十色の感想が出てくる楽しさ、あの瞬間
は、大学4年間の講義の中でも、一、二を争う
面白さでした。感じたことを感じたままに、視点を少し変えて、詩ってとても美しいですね!(S)
【岩辺泰吏さんから】
ありがとうございました。
『まどさんの詩で時間割』は、子どもと詩を結ぶ新しい回路を拓こうと思って努力しました。まどさんという大きな「ぞうさん」のほんの一部を撫でたに過ぎなかったという思いが、今になって生じています。だから、この本をきっかけにして、それぞれの「まどさんの詩で時間割」を編んでいってほしいと思います。また、自分の好きな詩や言葉を蓄えていく「アンソロジー」を作っていってほしいと思います。出版記念の会で演じた「あいうえお」は、毎晩練習することで、新しい解釈、表現を見出していくことができました。毎日口ずさ
むことで、詩は身体化され、生活の中に根差していくと思います。本の出版、また記念会のご支援に心から感謝いたします。(岩辺泰吏)
コメントをお書きください