『エヴィーと秘密と消えた動物たち』
マット・ヘイグ作 宮坂宏美 訳 ゆうこ 絵
ほるぷ出版 2021年9月
動物と心で話せるエヴィー。犬に頼まれてトゲを抜いてやることもできる。
スズメのチュンとは悩みを打ち明けあう間柄である。だが、学校に飼われているウサギに、逃がしてほしいと頼まれた時は困ってしまった。校長が勝手に野ウサギを捕まえてきたことを知ってしまえば、逃がさないわけにはいかない。
本来は、野生動物を飼うのは法律違反なのだから。だが、動物と話せることを口止めされているエヴィーは、校長に泥棒のように扱われてしまう。パパがエヴィーの力を隠したいのには理由があった。エヴィーの母は、動物を使って金儲けをたくらむ大悪人に殺されたのだ。エヴィーと同様、「ギフト」という動物と心を通わせる力を持つ祖母。トカゲのプラトンなどが、大悪人
モーティマーと対決する。だが、モーティマーの力は圧倒的で、エヴィーと祖母とパパはモーティマーにつかまってしまう。しかし、どうしようもない危機を救ったのは・・・。
正義であっても、力に屈服させられそうになるエヴィーだが、しかし、幼いころごく自然なこととしてヘビの命を助けたことがあった。それを思い出したヘビは、自分の利益のために動物を支配しようとするモーティマーと決別し、彼を絞め殺す。エヴィーたちが勝ったのだ。動物たちを支配しようとしたモー
ティマーはいなくなり、エヴィーは安心して動物と話すことができるようになる。
学校で一人ぼっちのエヴィーを助ける動物園の園長の息子ラメシュや、仲良しだったが一度エディーから離れる友人レオノーラなどの友だちも、それぞれ重要な役割を担っている。エヴィーが住む町は、ロフティング町、悪人の名前はモーティマー、ちょっと聞いたことのある名前で、作者の遊び心を感じた。(千田)
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中村理将 (木曜日, 15 9月 2022 14:00)
素晴らしい話