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7月例会「ソムリエから学ぶ言葉のアニマシオン」「社会科のアニマシオン」

 7月2日、7月例会を開きました。今回はショートアニマシオンが笠井英彦の「ソムリエから学ぶ言葉のアニマシオン」。

メインのワークショップが田所恭介さんの「社会科のアニマシオン」でした。

■ソムリエから学ぶ言葉のアニマシオン

 

 アニメーターがこのアニマシオンを思いついたのは『朝日新聞記者の200字文章術』(真田正明著 さくら舎)の中で紹介されている一冊の本でした。この本はわかりやすく魅力的な文章を書くための技法を説いており、井上ひさしさんや金田一秀穂さんらの書籍が紹介されています。でもアニメーターが一番刺激を受けたのはソムリエである田崎真也さんの『言葉にして伝える技術』でした。ソムリエは何万種類ものワインを覚えるため、五感を使ってそのワインを言語化していきます。これにヒントを得て思いついたのが今回のアニマシオンです。アニメーターが用意した飲み物(ワインではなくスパークリングぶどうジュース)を参加者にテイスティングしてもらい、それを香り、味、色などを観察し50字で表すというもの。4人グループでそれぞれが書いたものを読みあい、一番ふさわしいと思ったものを選び発表していきました。単なる飲み物でも五感を使い言葉にしていくと面白い表現が生まれます。このことを実感したアニマシオンでした。

■「戦時下の子どもの状況を考える」社会科のアニマシオン

 アニメーターの田所恭介さんは小学校の教員として、またその後大学で社会科の授業法を教える等、社会科を専門とするエキスパートです。今回アニメーターが行ったのはアジア・太平洋戦争の戦時下の子どもたちを扱ったアニマシオンでした。

 まず導入として行ったのはグループ(3人組)に戦争に関わる10枚の写真を配り、10枚の写真を日本国内と国外に分けるというものでした。初めて見る写真は想像しながら区別していきました。これをやるとどんな戦争かがなんとなくわかるようになります。また写真をじっくりみて想像するようになります。

 メインは学童疎開の1枚の写真を見て、何か疑問に感じること、「えー」と思ったことを考え、発表するというものです。

 

「なぜ残留組と疎開班がわかれているのか」「残留組の方が多いのはなぜか」「どんな子どもが残されたのか」等の疑問が出されました。この後、アニメーターから疑問についての解説がありました。疎開に多額のお金がかかったこと。しょうがいのある子どもは疎開できなかった事実に参加者は驚きました。東京都渋谷区の疎開状況などとても詳しい解説でした。

最後にこの疎開から見える戦時下の教育についてグループで標語(タイトルでも可)をつけました。

「ボクラ神の子。ガマンの子。」「大切なのは国ために働ける男の子」「今も昔も子どもを分けるのはおとな」「子どもよりくにのことだけ考える」等のタイトルが発表されました。

 さすが社会科を専門とする田所さん。重いテーマではありましたが、写真を見ていろいろ考えることができた貴重な90分でした。

 今回はワイン好きで疎開経験のある作家・詩人のこやま峰子さんが参加して下さり、イエス・キリストが最後に口にしたワインの話や疎開時の話をしてくれました。月例会の詳細は次号機関紙『ファンタジスタ』に掲載します。

 

(記録:笠井英彦)

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コメント: 1
  • #1

    ゆうた君 (日曜日, 10 7月 2022 13:20)

    いつかこやま峰子さんを囲んで「ワインのアニマシオン」をぜひ!