『プーさんの戦争 世界一有名なクマのお話』
リンジー・マティック他文、ソフィー・ブラッコール絵、山口文生・訳
評論社2021.12 1800円+
クリストファー・ロビンと動物園のクマ:ウィニーの出会いから生れた『クマのプーさん』は、ロビンの父ミルンがロビン6歳になった時に書いたお話だ。すぐにヒットして、『プー横丁にたた家』を書く。 ロンドンの動物園の人気者の熊ウィニーはどこから来たのだろうか。子熊の彼女は、猟師に連れられ、カナダのホワイト・リバー駅のプラットホームで売りに出されていた。1914年8月20日、カナダ軍の獣医部隊ハリー・コールボーン中尉はそのクマを20ドルで買う。第一次世界大戦が始まり、カナダ軍はイギリス軍の支援のために兵を送った。ウィニペグかたやってきたハリーの部隊もたくさんの馬を連れてロンドンに向かうところだった。故郷の名にちなんで「ウィニー」と名づけられたクマは、この部隊の人気者となり、様々な軍隊の行動をしつけられる。気をつけ! 起立! 敬礼!
こうして、ウィニーは部隊のマスコットとなって、一緒に移動していく。しかし、部隊は、ロンドンからさらに激しい激戦地に移動することになって、ハリーは動物園にウィニーを托すことにする。ウィニーは動物園の人気者になっていく。 1918年11月戦争が終わる。ハリーはウィニーを動物園に渡して去る。 それから数年、4歳の少年クリスファー・ロビンが子熊のぬいぐるみ「ピグレット」を持って、ウィニーの元にやってくる。父親のミルンさんがその様子を元に、『クマのプーさん』を書いたのは、ロビンが6歳の時だ。大ヒットとなったその本に続けて『プー横丁にたった家』を書く。
さて、この本は、ハリー・コールボーンが曾祖父であるリンジー・マティックが残された資料をもとにその隙間を想像で埋めて書いた物語である。主人公はクマのウィニー。巻末にたくさんの写真が添えられている。史実をつなぐ物語作りとして興味深い。『クマのプーさん』のファンにはおすすめだ。
(岩辺泰吏)
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