『海を見た日』
M・G・ヘネシー 作 杉田七恵 訳
すずき出版 2021年5月発行
里親と4人の子どもたちの物語。一番年長の14歳の少女ナヴィエアには将来の計画がある。里親の家でハイスクールまで卒業し、その後は奨学金で大学に行き、更に医学校で学んで医者になり自立するという計画である。そのために、夫に先立たれた悲しみから立ち直れないでいる里親のミセスKに代わって炊事、洗濯、幼い子の世話など、本来なら里親がすべき家事を一手に引き受けてこなしている。11歳のヴィクは空想の世界で生きていて、自分はスパイだと信じているADHDの少年。幼いマーラはスペイン語しか話せない静かな女の子。そこに4人目のアスペルガー症候群の少年クエンティンが入ってきてママに会いたいという。彼の願いをかなえるためにヴィクはクエンティンと一緒に冒険の旅に出た。マーラは2人についていき、3人がいないことに気づき連れ戻すために追いかけたナヴェイアだが、結局4人で旅を続けることになった。この一日の旅で、それぞれが自分を見つめ、自分以外の人の気持ちを考え、相手を思いやるようになる。そして4人が本当の兄弟のような関係に、さらにミセスKも含めて5人の家族になっていく。(小学校高学年~中学生向け)(廣畑)
コメントをお書きください