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今こそ読もう、この一冊!!103

『ぼくはおじいちゃんと戦争した』

ロバート・K・スミス 著 こだまともこ 訳 

あすなろ書房 2021年1月発行

 おばあちゃんが亡くなってすっかり元気をなくしたおじいちゃんがぼくたち家族と一緒に暮らすことになった。ぼくはおじいちゃんが大好きだし一緒に暮らすのははうれしい。だけど、おじいちゃんが二階のぼくの部屋を使うことにすると両親が勝手に決めてしまった。ぼくの意見も聞かずに。ぼくは自分の部屋を明け渡し、三階の屋根裏部屋に移らなければならないのが納得できない。足の悪いおじいちゃんが階段を3階まで上り下りするのは大変なのは分かる。だからってぼくだけ犠牲になるなんて不公平だ。

 ぼくはおじいちゃんに宣戦布告した。おじいちゃんは、これは戦争ではない、戦争をしたがるのは愚か者だけだとぼくを諭すが、ぼくは聞き入れない。ついにおじいちゃんも応戦し始めた。最初はちょっとしたイタズラだった。ところが闘いは段々とエスカレートしていった。不思議なことにイタズラの応酬を続けるうちに、おじいちゃんは少しずつ元気になっていった。おじいちゃんの生きる力の復活とともに、大切なものは何か、ぼくも気づいていく。おじいちゃんからの平和条約、解決方法の提案が素敵です。(小学校高学年向け)(廣畑)