生き続ける民話
最上一平『あらわれしもの』
ささめやゆき絵、新日本出版社22.12
老人同士の会話からすると、比較的福島寄りの東北の村ではないだろうか。最上さんは
山形県の出身だ。ある山里の限界集落、握(にぎり)集落。老人ばかりの20数軒。一番若
い人が50代。次々と主人公が交代して、語り継がれていく短編集。現代民話集と言った方
がいいだろう。民話はこのようにして、今も生まれ、語られているのだ。
そんな集落に突然、20代の若者が移って来るというのは、ものすごい“事件”だ。その
話が2編入っている。しかし、あとは老人、大老人たちの話だ。だから、これからもきっと続編は生まれつづけるのだろう。高齢者の生きがいなどがいろいろ紹介されたりするが、こういう「民話語り」の会も楽しいのではないだろうか。(岩辺)
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