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今こそ読もう、この一冊!!131

『願いを伝える遊牧民の布 キリムからの手紙』

 桐山エツコ作・絵 かもがわ出版 

千五百年以上も前から、中央アジアからアフガニスタン、イラン、トルコなどの遊牧民の女性た

によって織られ、生活の中で使われてきた布、キリム。褐色の大地に生きる人々の色への憧れが感じられます。

オオカミの口や羊の角などをかたどった様々な柄には魔除けや繁栄への祈りが込められています。それは嫁いでいく家と、自分への手紙のようだと筆者は言います。現在のキリムの産地では紛争が続いています。最後に紹介された織物には銃や戦車が描かれ、平和を望む人々の叫びが聞こえてくるようです。

キリムは遠い世界の、違う文化をもつ人々も私たちと同じ穏やかで、豊かな未来を願っていることを伝える手紙でもあるのでしょう。(笹島)