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今こそ読もう、この一冊!!136

岡田淳『カメレオンのレオン ないしょの五日間』

偕成社22.5 

 『カメレオンのレオン』シリーズ第3作。

 桜若葉小学校とサクラワカバ島は一枚の紙の裏表のように、つながっている。島の中央

のドラゴン像の台座と桜若葉小学校の中庭にあるクスノキの幹がつながっているのだ(もう一か所あるが)。それを知っているのは島の住民だけだ。レオンは島の探偵で、姿を変えることができるカメレオンだ。レオンに様々な「事件」が持ち込まれ、解決に奔走するというシリーズ。

今回は、サーカスの人気者ウサギの兄弟の魔法技「ピョン」だ。言葉で相手をジャンプさせることができる。それが、運動会朝の小学校に広がり、レオンが魔法の回収に動く。

もう一つは、島にやってきたヨットに乗る家族の一人息子6年生になるスバルがいなくなり、代わりに小学校6年生の恭太郎がスバルとなって現れるという「事件」。スバルはカメレオンであることに悩み、父はカメレオンの息子には跡を継がせられないと悩んでいる。本当に自分を大事に思っていてくれるのだろうかという悩み。恭太郎は3人の同級生のいじめにあっている。体育着をかくしたりされている。この双方の悩み、問題をレオン

が入って解決していく。さわやかな話である。そこに、島の高校教師(歴史)のヒキザエモン(羽織袴である)が狂言回しとして動く。

「あちらの世界」と「こちらの世界」を結ぶ通路。そんな存在が、現実だけでは解決できない問題を解いていく。高学年期の悩み多く子どもたちにはそんな「通路」が必要だ。10代に共感をわかせる設定だ。岡田淳のイラストもファンタジー世界へ誘い込む。楽しい物語だ。子どもたちに「続編」を書かせたいものだ。(岩辺)