2 詩の言葉を重ね、戦争を伝える
『水平線のかなたに 真珠湾とヒロシマ』
ロイス・ローリー著、ケナード・パーク画
田中奈津子訳、講談社23.6
1941年12月7日8時15分。日本軍はハワイ主ワイキキの軍港を奇襲し、戦艦アリゾナを沈めた。そして、多くの若者が兵士として命を失った。その固有名詞を挙げ、その生きた日々を記していく。
1945年8月6日8時15分、米軍機エノラ・ゲイはヒロシマ上空で爆弾を投下した。きのこ雲が空高く上がり、多くの命を一瞬で奪った。そこに消えていった少年、少女の名前を挙げ、その生きた日々を記す。
その双方から、生き残った人々が何十年も経て重なり合っていく。それを、詩の形で綴っている。静かな本だ。じっくりとかみしめたい作品だ。絵も語る。こういう描き方、語り方もあるのだ。深く心にしみる。戦争とは何かを問う。(岩辺泰吏)
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