『カムイの大地 北海道と松浦武四郎』
泉田もと、岩崎書店23.2
北海道の名づけ親と言われる松浦武四郎の後半生を描いた少年向け伝記物語。少年時代か
ら未知の世界――日本各地への憧れを持ち続け、歩き、記録した。少年時代に旅の途中で
な以来おぼえた篆刻が資金をつないでくれたという。
1845年、28歳で初めて「蝦夷地」に入り、その後、41歳(1859年)まで6回
にわたって蝦夷地を探査している。一日に60㎞を歩いても平気な剣客の持ち主。江戸に
もどると、記録を本にして出版。
蝦夷地の地理とともに、アイヌの人々の暮らしと文化を伝え、松前藩やその商人たちの不
当な差別の実態も広く知らしめた。明治2年には開拓判官に任ぜられて、道名や地域名の
選定、地図製作等に尽力した。しかし、翌年には判官を辞職している。1888年71歳
で没。物語としては、武四郎の周囲に、アイヌの少年ホロケウや案内人などを配置していきいきとした人物描写に努力している。(岩辺泰吏)
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