『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』
岡真理著 大和書房
2023年12月31日
本書を読んでいて、何度もページをめくる手が止まり涙が出ました。すべて読むのが本当につらい本でした。でも本書に書かれたことはしっかり知らなければならない事実です。私は中学校の社会科を担当していることからイスラエル、パレスチナ問題について少しは理解しているつもりでした。しかし、この本を読んで私の知識がいかに足りなかったか、知るべきことが多々あったかを痛感させられました。
著者の岡真理氏は早稲田大学の教授で現代アラブ文学、パレスチナ問題の研究者です。2023年10月7日の「ハーマス主導のパレスチナ人戦闘員による越境奇襲攻撃」があり、イスラエルは即時に「未曽有のジェノサイド攻撃」を始めました。病院や学校、難民キャンプまで激しい空爆が行われました。しかし、その報道の内容が実態に見合ったものなのか。そのような問題意識から、ガザについて理解してほしいという著者の強い思いからできた本です。10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で行われた著者の講演を基に緊急出版されました。「イスラエルという国がなぜできたのか」「シオニズムとは何か」「パレスチナ問題とは何か」「ガザとはどんなところか」「2007年以降ガザはどうなったのか」「私たちは何をすればいいのか」これらの疑問にわかりやすくしっかりと答えてくれます。人間の尊厳について深く考えさせられました。(笠井英彦)
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