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3月例会「紙芝居をつくってみよう」

3月2日、3月例会を開きました。今回はショートアニマシオンが笠井英彦による25

周年記念誌に掲載されている実践報告。アニマシオンは渡部康夫さんによる「紙芝居を作ってみよう」でした。

■「あなたがもし奴隷だったら」

アニメーターがこの実践の必要性を感じたのは、中学校社会科教科書での黒人奴隷の記述があまりに貧弱すぎるという思いからです。教科書本文では「厳しい労働や伝染病により先住民が激減すると、アフリカから奴隷を連れてきて働かせました。」のみです。これでは中学生が黒人に対して誤解してしまい、アメリカの現実も理解できないのではないか。そこで絵本『あなたがもし奴隷だったら』(ジュリアス・レスター文/ロッド・ブラウン絵)を使い授業を組むことになりました。この絵本は黒人奴隷が置かれた現実が鋭い絵で描かれています。そこでグループに絵本からの絵を配り、絵をじっくり見て、その絵から想像できることを文章に書いてもらいます。そしてそれを発表します。順番に発表していくと、アフリカから運ばれ農場で働くことになったいきさつもわかります。これだけではありません。絵に出てくる鎖や鞭を用意しそれを体感してもらいます。鞭で机をたたくと炸裂音とともに振動が伝わります。これで体を打ったら・・・。黒人奴隷が置かれたひどい状況が体感できます。これが後の黒人差別に繋がり、今のアメリカをつくっていることを理解していくというものです。

■紙芝居を作ってみよう

 紙芝居が大好きなアニメーターの渡部康夫さん。14年間、主宰する地域子ども文庫に来る子どもたちのために毎月紙芝居をつくり続けてきました。総数は140を超えると言います。その紙芝居を毎月のお話し会で上演。紙芝居を通して子どもたちとつながる楽しみは格別だと言います。

 まず、アニメーターが自作の紙芝居『くもくんとかめくん』を演じました。かめくんがくもくんに乗り、空を楽しく旅します。ついには宇宙まで行って金星や土星、宇宙人と会って帰ってくるという夢のある紙芝居。これに参加者が聞き入りました。

 次はこの紙芝居を参考にグループで紙芝居をつくるアニマシオンです。3人グループになり、4枚で話がまとまる紙芝居を作るというものです。まずアニメーターから作り方の説明がありました。①ストーリーを考える。(誰のために、何をつたえたいのか)②題名をつける。③キャラクターを考える。④場面分けをする。このワークシートが分けられました。

 そしてグループで紙芝居を作っていったのですが、アニメーターがすごいのは、この作

業のために、画用紙、マジック、文章を記入する用紙だけでなく、多くのキャラクターの

絵、新聞、雑誌の写真、背景の絵や写真など膨大な資料を揃えたところです。そのため参

加者は絵を描くというよりも、揃えられた絵や写真を貼ることで作業を進めました。これ

らの資料がキャラクターやあらすじを考えるにもとても参考になりました。

『わたしたちのみらい』『せかいからありがとう』『Not Google』『こけちゃった』『ア

ニマくん特製ラーメン』というタイトルの紙芝居ができ、発表しました。紙芝居を作るの

がこんなにも楽しいのかが実感できる優れたアニマシオンでした。(記録:笠井英彦)