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9月例会報告「ちょこっとクイズ大作戦」「田中達也のアニマシオン」

9月例会報告

9月7日(土)9月例会を開きました。若い小学校の先生の参加もあり、会場はほぼいっぱいとなりました。今回は太田和順子さんによるショートアニマシオン、名鏡琢人さんによるアニマシオンでした。

■『ともだちや』で「ちょこっとクイズ大作戦」

アニメーターの太田和さんがアニマシオンに出会ったのはもう20年以上前、岩辺前代表のアニマシオンを市川市の研修会で体験したことからだと言います。その後、飯塚小学校でのアニマシオンの研究会に参加するなどしてアニマシオンクラブに加入。今では事務局のメンバーとして活躍しています。そんな太田和さんが25周年記念誌『ぼくらは物語探偵団』に書いたのは『もとだちや』(内田麟太朗・偕成社)を使っての「ちょこっとクイズ大作戦」です。まず、『ともだちや』の読み聞かせがありました。そして、クイズを出題。このクイズは太田和さんと5,6年生の図書委員がつくったものです。例えば、「ももだち1じかんいくら?」「ともだちやが手に持っているのは何でしょう」など15問のクイズです。3択で答えていきました。話の内容に出てきたものはわりとわかったのですが、絵本の絵に関するクイズはわからないところもありました。そして各グループに『ともだちや』が配られ、絵本を見てクイズの答え合わせをしていきました。すると読み聞かせの時には気が付かなかったことがいくつかありました。そう、これによって本を振り返ることができたのです。クイズを解きながら本を振り返る。楽しく、本を読み返すアニマシオンでした。

■田中達也のアニマシオン

アニメーターの名鏡さんは、昨年「It’s a smaii world」としてミジンコを題材にしたアニマシオンをやりました。生きたミジンコの拡大写真を撮るという面白いアニマシオンでした。今回はそのsmall worldの第2弾。ミニュチア写真家で見立てアートである田中達也さんの写真集、動画を使ってのアニマシオンでした。今回は、事前に「参加者は日用品や食品の容器、玩具など10点を持参してください」連絡がありました。前の机上には参加者が持参した文具や日用品、おもちゃなどが多数並べられました。

①まず、田中達也さんの絵本『くみたて』の読み聞かせがありました。ここで参加者は田中達也さんの「見立て」の世界に触れていきます。身近なものが別の何かに見えていきます。

②次は田中達也さんの作品を使ってのことばのくみたてクイズです。ソフトクリームの上にウェディングドレスを着た人形が乗っている写真、これは「アイスすることを誓います」、エビフライが胴体でナイフとフォークが翼になった飛行機は「エビフライと」など、クイズ形式で作品のタイトルが紹介されました。クイズはさらに進みます。4枚の作品(写真)が配られ、そのタイトルを考えるというものです。例えば、クリップが規則正しく並べられ、そこでミニュチアの人(人形)がトレーニングをしています。これは「ジム用品」。グループで写真を見て、言葉を出し合いました。

③次は田中達也の発想の秘訣に迫る!という作戦で、グループに田中さんの8つの作品が印刷された用紙と8枚の短冊が渡されます。その短冊には「たくさんの丸から考える」「緑から考える」「赤から考える」「輪っかから考える」「黄色から考える」「丸から考える」「半球から考える」「青から考える」とそれぞれ書いてあります。田中さんの作品を観察して、この短冊と作品を合わせるというものです。例えば、りんごとその皮が絨毯になっていて、そこに演奏家の人形が並べられている写真、これは「リンゴスター」というタイトルの作品ですが、答えは「赤から考える」です。この組み合わせクイズはわりと簡単にできました。

 

④最後はこのアニマシオンのメインの取り組みです。参加者が持参した多くの物と名鏡さんが用意したミニュチアの人形や工事現場の標識など、これらの物を使って、グループで「見立てのミニュチア作品づくりに挑戦!」というものです。作品をつく前に8月にテレビ東京系列で放映された「新美の巨人たち」の一部を観ました。これは作品作りの上でヒントになりました。グループで取り組んだ作品作りはかなり考えさせられました。どんな物を使い、それを何に見立てるか、難しいことでした。でもいろんな物を角度を変えて見たり、近くで見たりしていくと違った物に見えていくこともわかり、面白く取り組めました。食器を使った「目玉遊園地」、トライアングルを使った「ピラミッド」など面白い作品ができました。その中のいくつかは画像として、タイトルとともに発表されました。

1時間半を超えるアニマシオンでしたが、クイズを解いたり、作品を作ったりするがとても楽しく、また日ごろ使っていない脳の働きをかなり使った感じがしました。本の読み聞かせからクイズ、作品作りとその流れもよく工夫された優れたアニマシオンでした。(記録:笠井英彦)