『おばあちゃんの白い鳥
~ガザのものがたり』
マクラ・マタール作 さくまゆみこ訳
講談社 1800円(税別)
作者はパレスチナ・ガザ地区で生まれ育ったアーティストです。この絵本は、今から10年前、イスラエル軍によるガザ攻撃で家に閉じこもることを余儀なくされた作者の実体験をもとに描かれた作品です。主人公のマラクは、おばあちゃんから、籠に入っている鳥は外に出られないけれど、ゆめの中ではどこへでもとんで行けるよと聞かされます。イスラエル軍の空爆が始まると、50日間も学校に行けなくなったマラクは頭の中に浮かんだことを絵に描きます。やがて学校が再開しマラクが描いた絵を先生や友だちに見せると・・・・。
パレスチナの悲惨な状況を夢のある話と素敵な絵で描くこの作品は、生きる希望を静かに訴え続けます。最後の「解説」もぜひ読んでほしいと思います。(笠井)
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