『真実の口』
いとうみく作 講談社 1500 円(税別)
中学三年生の冬の夜、律希、湊、七海の三人は、迷子と思しき幼い少女を交番まで連れていき、警察から感謝状を贈られます。高校生になったある日、律希、湊は、七海から悩みを打ち明けられます。「もしかして、わたしたちすごい誤解をしてたってことはないかな」と。あの時の少女は虐待を受けていたのではないかと思い始めた三人は、行動を起こし始めます。「おれたちのしていることは、たぶん社会では認められない」、そんな思いを抱え、まだ大人ではない三人は、何ができるか模索しながら進んでいきます。他者に無関心すぎる現代の日本で、見て見ぬふりをする大人も多くいます。いざ自分が目の当たりにした時、動き出せる人になれたら、そんな願いを感じる一冊です。 (名鏡)
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