『川滝少年のスケッチブック』
小手鞠るい、川瀧喜正・著 講談社
アメリカに住む小学生の深青くんは母から祖父のスケッチブックを渡されます。そこには祖父が見た、おいしい食べ物、にぎやかなお祭りなど伊予宇和島の風景が漫画風の絵と文章で生き生きと描かれていました。そして夏休みには祖父を訪ね、軍国少年としてみた戦中、戦後の様子を聞くことになるのです。「間違っていると分かりきっていることでも、正しいと信じて疑わなくなる。それが戦争」と。この物語はフィクションでありながら、著者の父親がスケッチブックで描いた戦争体験を掘り起こしていくルポルタージュでもあります。世界のあちこちで戦火が広がっている今、「平和な世界はちょっと油断をしていたらあっという間に崩れてしまう、戦争は絶対にいやです、と声を上げることがたいせつです。」という筆者の言葉をしっかりと受け止めたいと思います。(笹島)
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