
『がいとうのひっこし』
山田彩央里ぶん、山田和明え、イマジネイション・プラス24.10、1700円+
古くなった街灯は居場所を失う。あちこちで拒否されて転々。郊外の広場に立つと、さまざまな悩みを抱える人がやってきてひとときを過ごす。そして、心の積み荷を降ろすと元気になって戻っていく。外套は自分の居場所を得たことを知る。表紙カバーの袖に書かれている言葉が適切だ。
「一見煌びやかな街でも、みんな幸せそうに見えても、人知れずどうしようもない思いを抱えている人がいます。寂しさ、悲しみ、焦り、後悔……心の中をぐるぐる回る。そのあとは?その人たちの気もちは、一体どこに行くんだろう?」
と。人には「存在する」ことで人の支えとなっている役割がある。大人に対する絵本だといえよう。(岩辺泰吏)
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