
詩集『さんかくじょうぎ』
こやま峰子・詩、武田淑子・絵
銀の鈴社 1983.11 1,600円
月
雲のうんだ たまご
これが、4年国語(光村図書)に収録されている『さんかくじょうぎ』の中の詩です。
こやま峰子さんの初めての詩集。「うし」「みのむし」「おはし」「すずらん」「おひさ
まの わすれもの」……。どれも身近な存在をよく見つめ、その“語り“に耳を傾けた作品
です。その後の詩集『はじめのいーっぽ』や『ぴかぴかコンパス』などでも貫かれる手法
で、誠実な言葉で語られ、かつ言葉の並びはおしゃれです。フランス語・フランス文学に
親しみ、訳詩集も出されてきた教養が土台にあると思います。
読書のアニマシオン研究会が葛飾区立飯塚小学校で公開研究会・ワークショップを開いていた時に、「まるごと・こやま峰子さんdeアニマシオン」を開きました。そこで、子どもたちがこやまさんの詩を暗唱、パフォーマンスで演じる姿を見て、拍手を贈ってくれました。「それまで読者のことなぞ考えることはなかったけれど、子どもが自分の詩を学び・演じてくれるのを見て、読み手がいて支えられているのだと考えるようになった」と話してくれたことがありました。
私が教材詩集『子どもたちに詩をいっぱい』(旬報社)で詩「つくし」を「あてっこ詩」として取り上げたとき、快く受け入れてくれたうえ、「こんな風に楽しむことができるんだと、何度もながめています」とお手紙をくださいました。アニマシオンクラブでは、「まど・みちおさん100歳記念集会」など、折に触れてこやまさんにお願いしてお話をうかがってきました。
5月例会では、詩を書き始めた背景や戦争中の体験と平和への思いなどいろいろとうかがえることが楽しみです。(岩辺)
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